ネット社会が浸透しEC市場の競争が激化するなか、いかにして効果の高い施策を打つかについて頭を悩ませている企業も多いのではないでしょうか。
売上向上に関しては多種多様な施策がありますが、現代の消費者の傾向を見ると、口コミ(レビュー)の重要性に注目する必要があります。
今回は、レビューの重要性を確認しながら、影響力のあるレビューの内容や収集、活用方法について解説します。
レビューはなぜ重要なのか
ECの売上向上を図るうえで、なぜレビュー活用が重要なのかを解説します。
消費者動向におけるレビュー
消費者の購買に至る行動プロセスは時代とともに変化しています。
特にインターネットの浸透やIT技術の一般化は、消費者の購買行動に大きな影響を与えました。
マスメディアが消費者行動を左右した時代から、インターネットによる情報収集の時代を経て、現在はSNS時代へと移行しつつあります。
同じインターネットを活用するのでも、レビューによる商品・サービスの紹介が重視される傾向が見られます。
特に10代~20代の若い世代では、その傾向が顕著です。
総務省の”「平成28年版 情報通信白書」の概要”によると、年代に関わらず8割以上の利用者がレビューによって購入する商品を決定した経験があると回答しています。
広い世代にわたりレビューをある程度参考にしている様子が見られます。
また特に年齢が低いほど口コミやレビューの影響が大きく、新商品認知経路の上位をSNSが独占しているようです。
約60%の人が、インフルエンサーの紹介商品の購入経験があると答えています。
レビュー自体、「役に立った」という評価を得る仕組みが一般化したことで、レビューの評価得点がその製品・サービスの売上を左右するようになりました。
インターネットで他者のレビューや口コミを目にして商品・サービスを認知し、ECサイト上のレビューを通じて使用感を確認後、購買に至るという「VISAS(ヴィサス)の法則」が代表的な購買行動モデルとして確立しています。
VISASとは以下の5つの単語の頭文字をとった言葉で、口コミ(Viral)を起点とした購買行動モデルです。
- ・Viral (口コミ)
・Influence (影響)
・Sympathy (共感)
・Action (行動)
・Share (共有)
現在のマーケティングではVISASの法則が重要視されており、消費者の購買行動にレビューが大きくかかわっていることがうかがわれます。
レビュー活用のメリット
レビューを活用するメリットとしては、以下のことが挙げられます。
- ・訴求効果
「ほかにも買っている人がいる」という安心感による、引き寄せ効果を生みます。
- ・信頼性の向上
多くの人が利用しているサイトであることや、商品・サービスが浸透していることから、事業者や提供者に対する信頼が得られます。
- ・返品の減少
購入前に商品・サービスの内容が具体的にわかり、使用感を知ることができるため返品を軽減できます。
- ・顧客の声を収集
商品・サービスに関する率直な意見として改善の参考となります。
- ・手に取れないことによる不安を解消
洋服の場合は試着できない、化粧品では試用できない、食品では試食できないといったことによる購入への不安を、レビューを通じて解消できます。
レビューを活用しない場合のリスク
一方で、レビューを活用しない場合は、以下のリスクが考えられます。
- ・反響がわかりにくい
実際の購入者による感想が得られないため、販売者の視点のみに偏り、適切な改善がしにくくなるおそれがあります。
- ・リスクマネジメント(危機管理)が遅れる
上記と関連しますが、ネガティブな意見に気づかずにいることで風評被害などに至る可能性があります。このようなリスクは「レピュテーションリスク」と呼ばれ、企業やブランドの価値損失を招くきっかけとなります。
- ・共感を得にくい
消費者の購買行動では共感が重要な要素のひとつです。レビューには共感を醸成する効果が期待できるため、レビューを活用しない場合は共感不足により不利になる可能性があります。
- ・具体的イメージや新たな視点が得られない
レビュー上に利用状態の写真が掲載されれば、使い方のイメージ、工夫がほかの消費者に伝わります。レビューを活用しない場合、ユーザー発信の使い方・アイデアを得る場が得られません。企業側で新たな使い方やアイデアの提案を行う場合は、大きな手間や負担が発生します。
レビューは「使用者」目線の意見です。そのため、販売する側の声よりも説得力があり、実感されやすく、受け入れられやすいのです。
購買活動を後押しするレビューとは
ユーザーの購買活動に影響を与えるレビューや、ユーザーが参考にするレビューには以下の特徴があります。
属性が近い
同年代や同性など、同じような立場の購入者の意見は強く興味を引きます。
同じ悩みを持っている
同じ悩みを持つ人に親近感を覚えると同時に、商品・サービスの利用によって悩みが解決することがわかれば、商品・サービスに対する期待値が大きくなります。
具体性がある
年齢、体型についての記述があったり、実物写真が掲載されていたりすることで、商品の実像やメリット、効果が伝わります。
商品・サービスについて詳細な表現による感想を述べているレビューも、真実味を与えます。
辛口の評価
ネガティブな意見と客観的な理由づけは、信頼できる内容として読まれます。
否定的に見るだけではなく、自分のケースに当てはまるかどうかを判断する材料として活用されます。ほかと違った切り口の意見としても参考になります。
同じ内容の評価
多くの人が同様の感想を持っていると説得力を感じ、安心感を覚えます。
評価点が多い
「役立った」という評価の多いレビューは、商品の機能性についての信頼を強化します。
「バタフライサーキット」のモチベーションとなる
バタフライサーキットとはGoogleが提唱する概念で、消費者が購買行動のプロセスにおいて「さぐる」と「かためる」の間を行ったり来たりする情報探索行動を示します。
消費者が購買に至るまでには、情報探索行動を行う理由として、8つの潜在的な動機が存在するという考え方です。
- ・さぐる
消費者が選択肢を探ろうとする行動。「気晴らしさせて」「学ばせて」「みんなの教えて」「にんまりさせて」の動機による
- ・かためる
消費者が、選択肢を固めようとする行動。「納得させて」「解決させて」「心づもりさせて」「答え合わせさせて」の動機による
消費者の情報探索の動機、特に「みんなの教えて」「心づもりさせて」「答え合わせさせて」という動機については、レビューが役割を担っていると考えられます。
バタフライサーキットについて詳しくは、「バタフライサーキットから見る消費者の購買行動とレビューの関係」をご覧ください。
レビューの集め方
一般的なレビューの集め方を解説します。
購入者へのレビュー依頼メッセージ
購入者に対するお礼メールを送付する際に、同時にレビューを依頼する手法です。
商品にレビュー依頼メッセージを同梱する、レビューに際して次回の購入に利用できるクーポン付与をするといった方法も見られます。
購入者に対するインセンティブの提供
購入前にレビューをするかどうかを選択することができ、「レビューします」を選択するとプレゼントが提供される仕組みです。
レビューを書くことでポイントが付与される・送料無料となるといった方法も見られます。
レビュー依頼メールを送付
単独でレビュー依頼メールを送付する方法もあります。
レビューした人にプレゼントや会員特典を提供することで訴求を図り、協力を得ます。
ECサイトのレビュー活用法4選
レビューを集めたあとの主な活用の仕方について説明します。
レビューと向き合い信頼関係を構築
良い、悪いにかかわらず、レビューは、今後の事業運営に生かせる材料であり、気づきの宝庫です。
辛口評価の理由を確認して真摯に対応、改善することにより、顧客満足度の向上や信頼性の獲得が可能となります。
レビューから「購入してみたら実際には〇〇だった」といった声を拾い上げ、よりわかりやすいサイト構築を目指すことも可能です。
写真や図を入れる、商品説明を具体的に記載するといった商品紹介の最適化により、消費者との関係強化につなげます。
マーケティング戦略の見直し
レビューからは、マーケティングにおけるターゲット設定が適切かどうか、といった判断材料が得られます。
また、ターゲットに合わせた流入チャネルの確保など、導線設計の見直しにも役立ちます。
集客効果の向上
評価の高いレビューを効果的に活用し、CV(コンバージョン)向上に役立てることもできます。
レコメンド機能にレビューを活用することで、消費者の興味・関心をいっそう喚起する効果を付加できます。
レビューの分析
レビューとCVの関係性を分析することも重要です。
例えば、良いレビューが多い割にCVが得られていない場合には、その原因を追究します。
Webサイトの導線が悪い可能性が考えられるため、商品ページからレビュー確認、購買ページへとつながる流れが確立できているかを検証するといいでしょう。
レビュー活用における注意点
口コミやレビューを活用する際のポイントを解説します。
誘導をしない
レビューにおいて、どのような「つくり込み」もあってはなりません。購入者のレビューに販売側の意図が見えれば、消費者の信頼を失いかねません。ステルスマーケティングの疑いを回避するためにも、誘導的な働きかけは控えましょう。
ネガティブレビューも残し、隠さない
良い意見ばかりでは、逆に消費者は不信感を持ちます。
ネガティブなレビューをあえて公表し、それに対する返信、解決への対応を行うことで、一人ひとりの顧客の声を傾聴する姿勢を示すことができます。
レビュー・アンケートなどを流用する際には許可を得る
個人的な意見をほかのサイトや媒体で利用する場合には、必ず投稿者に許可を得ることが大切です。
自社サイト以外への書き込みについても、二次活用の許諾を得てから使用します。
サイト管理者として責任を果たす
レビューには手を加えないのが原則ですが、公序良俗に反する内容、虚偽内容、肖像権・著作権やその他法令に抵触していないかなどを確認することは、サイト管理者の責任です。
Webサイト自体の信用問題にかかわるため、法令に準じた対応が必要です。
口コミ・レビューは業績向上につながる貴重な財産
膨大な情報にあふれた社会のなかで、多くの消費者は、賢く取捨選択を行うためにほかのユーザーの意見を判断材料としています。
自社の商品・サービスに寄せられるそうした「生の声」は、ポジティブ・ネガティブにかかわらず商品・サービスの貴重な財産です。
上手に使いこなすことで、顧客接点の改善につながるだけではなく、消費者からの支持の強化や売上向上が期待できます。
まずはレビューを集めることに目を向け、自社なりの活用方法を探っていくことが大切です。
レビュー活用をご検討の際には、良質なレビューをかんたんに収集できる、“自走する”レビューマーケティングプラットフォームReviCoを、ぜひご活用ください。
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