OMOは近年注目が集まっているマーケティングの手法です。まだ実践したことがなくても、今後取り入れることを検討している企業も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、OMOの特徴やO2Oやオムニチャネルとの違い、具体例や成功事例について解説します。また、メリット・デメリットについても深掘りするので、ぜひ最後までご覧ください。
OMOとは?意味やO2Oの違いについて
OMOの概要やO2O、オムニチャネルとの比較・違いについて解説します。
OMOとは
OMO(Online Merges with Offline)とは「オンラインとオフラインの統合」を意味するマーケティングです。
例えば、アパレル業界において、オンラインとオフラインでの顧客の購買データを収集していけば、セール情報やおすすめ商品を発信するなどのマーケティング施策をより適切に打つことができます。
消費者はニーズにマッチした方法で購買をサポートしてくれることを重要視していると考えられます。OMOは、複数の方法をシームレスに統合したマーケティングであり、顧客ニーズを高いレベルで満たすことを目指します。
OMOとO2Oの違い
O2O(Online to Offline)とは、オンライン(SNSやECサイトなど)からオフライン(店舗など)へ消費者を誘導することを目指すマーケティング手法です。
オンラインでのマーケティングは、ブランドや商品・サービスを知ってもらうためのきっかけとして活用されます。もちろんオンライン上で購買行動が発生することもあるものの、ゴールはあくまでも店舗へ来てもらうことです。
OMOはオンラインかオフラインかにこだわらず、両方を駆使して顧客体験を向上させることを目指すという点で相違があります。
OMOとオムニチャネルの違い
オムニチャネルとは、消費者と複数の接点を持ちながらマーケティングする手法です。オムニとは「あらゆる」という意味です。
オンラインとオフラインのさまざまなチャネルを用いて消費者と接点を持つという点では、OMOと似ています。しかし、オムニチャネルではチャネルごとに独立させる一方、OMOではそれぞれを区別せずに、行ったり来たりしながら購入を促します。
オンラインとオフライン、それぞれのチャネルを統合させているという点で、OMOはオムニチャネルの発展した手法だといえるでしょう。
OMOの戦略の具体例5つ
OMOを用いた戦略にはさまざまなものがあります。ここでは主な例を3つ取り上げます。
1.モバイルオーダー
商品を事前注文して店頭で受け取れるモバイルオーダーは、OMOの代表例といえるでしょう。
好きな場所から好きなタイミングで注文できる上に、受け取りまでの待ち時間を無くすことができます。総じて新しい体験を提供しているため、顧客満足度を高める効果が期待できます。
また、モバイルオーダーはお店にとってもメリットがあります。例えば、店員同士が口頭で注文を確認するよりも、ミスが少なくなるかもしれません。さらに、人件費を減らしながら売り上げを上げることも可能でしょう。
2.チャットボット
チャットボットはチャット(会話)とボット(ロボット)を組み合わせた造語です。消費者の入力情報に自動で返答を返してくれるチャットボットを導入する企業が増えています。
EC上ではすぐにスタッフに話を聞くことができません。疑問や不安の解消を促すチャットボットを設定することで、消費者の購入機会の増加が見込めます。
次に紹介するデジタルサイネージと合わせることで、より効果的な顧客体験を生み出せます。
3.デジタルサイネージ
サイネージとは、標識や看板を意味する英単語です。デジタルサイネージとは、ディスプレイなどを用いてインターネットを経由して最新情報を発信するメディアです。
チャットボットと掛け合わせてレコメンド商品を提示したり、購入を促したりするサービスが増えています。例えば、カメラが設置されたサイネージの前に立ち、自分の体型や属性にあったおすすめ商品を紹介してもらえるなどのサービスです。
デジタルサイネージは、オンラインとオフラインを掛け合わせた時代の最先端をゆく顧客体験を生み出しています。
4.BOPIS
BOPIS(ボピス)は消費者がECサイトで購入した商品を店頭で受け取れるサービスです。「Buy Online Pick-up In Store」の頭文字をとった造語です。
消費者側のメリットとして送料がかからないことがあります。受け取り日時の指定がないことやその場で返品できることなども挙げられるでしょう。
事業者側のメリットとしては来店してもらい他の商品の購入も促せることや、店舗で受け取りたいという消費者のニーズを満たせることなどがあります。
取り入れるためには在庫を適切に管理するしくみや、消費者のニーズに合わせたスピードで発送するための体制づくりなどが必要です。
5.在庫統合
在庫管理を最適化することは、複数のチャネルを活用して販売数を増やすためには欠かせないでしょう。 各チャネルの在庫を一元管理することで、負担の軽減はもちろん販売機会の拡大や高精度での需要の予想分析も可能です。
オンラインとオフラインで在庫を別々に管理してしまうと、それぞれに在庫を抱え、管理の運用負担も増えます。それだけではなく、チャネルごとに在庫が分散してしまい、売り切れが多発すると、顧客満足度も下がる危険性があります。
在庫統合のシステムを有効活用するためには、会社の規模や商品にあったものを取り入れることが重要です。取引先や販売チャネルを全て網羅できるかどうかなども確認しましょう。
OMOの導入・活用事例|2つ
OMOの導入事例を2つ紹介します。
株式会社セブン&アイ・ホールディングス「7iD」
OMOの導入事例に、セブンイレブンやイトーヨーカドーなどのグループに所属しているお店共通の「7iD」サービスがあります。
各店舗での割引券の利用や、マイルの貯蓄などができます。無料かつ3ステップで登録できるため、利用のハードルはかなり低いといえるでしょう。
消費者はお得に買い物を楽しめるというメリットがあります。マイルを貯めればオリジナル商品やイベント参加の権利と交換できるため、楽しい顧客体験もできます。
企業側にとっては、顧客データを収集し、適切な情報を流すことで購買行動を促せるメリットがあります。オンラインとオフラインのサービスを融合させたOMOの代表事例といえるでしょう。
Amazon.com「Amazon Go」
Amazonが運営する店舗Amazon Goでは、独自の購入体験ができます。入店時に会員用のアプリを表示させた状態で読み取りをすれば、商品をカゴにいれてお店を出るだけでオンライン決済により買い物ができます。
Amazonが導入しているのは「Just Walk Out」テクノロジーです。店内の複数のカメラとセンサー、画像解析システムなどによって消費者の動きをトラッキングします。
企業側は、顧客が購入するまでのデータを収集・解析することで、商品の配置や在庫状況などを改善できます。また定員の配置を最適化することで、人件費を最小限まで抑えることも可能でしょう。
OMOのメリット・デメリット
OMOのメリットとデメリットについて詳しく解説します。
メリット:顧客ニーズの把握がしやすい
オンライン、オフラインのチャネルを統合させることで、顧客ニーズを把握しやすいです。
ECショップやスマホアプリの利用履歴、実店舗の購入履歴などを参考にすることで、顧客ニーズをより正確に把握できます。
パーソナライズなサービス提供も可能にし、顧客体験を向上させられます。
メリット:LTVを最大化できる
オンラインとオフラインの統合によって、購入機会を増やすことが可能です。定期的にブランドや商品・サービスを想起してもらえることで、継続的な収入を得ることもできます。
また、顧客体験を向上させることにより、ファン化を促しLTVの向上が期待できます。顧客にとっての唯一無二のブランドになれれば、LTVを最大値まで上げられるでしょう。
デメリット:短期的な結果は望めない
OMOは短期的に結果を求めることが困難です。顧客データの収集から始まり、データ分析、戦略の実行、修正などを繰り返さなければなりません。
初期費用に加えて、結果が出るまでの間のランニングコストなどを考慮しなければなりません。
目標数値や期間を明確にすることに加え、成果を出すためのステップを明確化することが重要です。
デメリット:データベースの管理や社内体制の整備が必要
OMOは開発や運用に関わるコスト面に加え、AIなどの技術面における導入ハードルが高いです。
まずは、膨大な量のデータを蓄積できる、安全なデータベースが必須です。また、クラウドストレージやデータ連携ツール、アプリケーションなどの、新たなデジタルツールを取り入れなければなりません。
さらに、OMO実施前の自社システムのデータの活用方法も考慮する必要があります。データを運用・分析・戦略の企画や運用を担う人材も欠かせません。
OMOはハード面とソフト面の両方においてコストや技術が必要であるため、運用の可否を社内でしっかり検討する必要があります。
まとめ
OMOとは、オンラインとオフラインを統合したマーケティング手法です。顧客体験の最大化を目指し、結果的に売上げアップが期待できます。
似ている手法にはO2Oやオムニチャネルがあります。O2Oはオンラインからオフラインへ誘導するための手法です。オムニチャネルは、それぞれのチャネルを独立したものとして捉えてアプローチするものです。OMOは時代に合わせてより進化したマーケティング手法といえます。
OMOにはモバイルオーダーやチャットボット、デジタルサイネージなどの例があります。
OMOのメリットとして、顧客ニーズを把握しやすいことや、LTVを最大化させられるなどがあります。一方で、短期的な結果は見込みづらいことや、ハード面とソフト面において導入のハードルが高く感じる場合もあることが挙げられます。
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