継続購入には初回購入前の消費者の肯定度が重要であると、前回の記事でご紹介しました。
肯定度や顧客満足度、顧客ロイヤリティを考えるうえでもう一つ押さえておくべき考え方が「グッドマンの法則」です。
この記事では、グッドマンの法則の基本的な内容とレビューやVOC(顧客の声)を活用して顧客満足度をアップした事例についてご紹介します。
グッドマンの法則とは?クレームと再購入率との相関関係
1970~1980年代、ジョン・グッドマン氏が代表を務めていたTARP社が消費者苦情処理に関して行った調査をもとに、日本の佐藤知恭氏(顧客ロイヤルティ協会の設立者)が法則性を見出し、その名前がつけられました。
顧客心理と深い関係性があり、今日のマーケティングにおいても非常に重要な法則です。
グッドマンの第一法則~第三法則までまとめた図がこちらです。
グッドマンの第一法則
下記の図から、苦情を申し立てる人は全体の4%と非常に少なく、96%もの人は企業に不満を抱えていたとしても苦情を申立てしなかったことがわかります。
また、苦情を申し立てた人は、再購入をする割合が高くなっており、特に企業の対応が迅速であった時や解決に満足した時ほど再購入決定率が高くなっています。
グッドマンの第二法則
グッドマンの第三法則
ここでの適切な情報とは、顧客にとって良い情報も悪い情報も含みます。
顧客にとって必要な情報は、多少企業にとって不利益となっても顧客に共有することがその後の顧客との信頼関係に繋がるということです。
グッドマンの最新理論CX3.0®
CXとは顧客による商品・サービスの購入や利用、従業員やカスタマーサービスとのコミュニケーションなど、顧客と企業との間で発生する全ての体験を意味します。
CX3.0Rとは、グッドマンが提唱する現代版の顧客体験についての考え方です。
グッドマンはCXを時代とともにバージョンアップする概念として次のように提言しています。
- ・CX1.0(1970年代~):商材にVOC(顧客の声)を取り入れる
- ・CX2.0(1990年代~):顧客関係管理システムで顧客情報を一元的に管理
- ・CX3.0R(2010年~):企業側から積極的にコミュニケーションやサービスを提供
特にCX3.0Rは顧客本位のサービス提供を重視し、顧客と自社との関係を深め、顧客のロイヤルティを高めて、自社のファンに転化させる考え方が特徴です。
顧客をファンにすることでLTVを上げ、収益基盤を強固にする有用な概念です。
グッドマンの法則に関する事例
重要なポイントは、第三法則を活かし顧客の声を集めることです。
以下では、グッドマンの法則が活かされた事例を2つ紹介します。
人材紹介会社での事例
人材紹介業は1人のキャリアアドバイザー(CA)が1人の求職者と直接関わる業態です。
そのため、各求職者のニーズに合った提案ができるかが顧客満足度に大きく影響します。
そこで、CAは適宜アンケートやヒアリングを実施して、求職者がサービスにどの程度満足しているかを測定することが必要です。
求職者がサービスに不満を持っている時には、他の求人を提案したり、求職者のニーズを再確認したりすることで、顧客満足度の向上につなげます。
このように顧客の声に耳を傾け、顧客のニーズを汲み取ることで、顧客満足度の向上につながります。
酒蔵メーカーでの事例
グッドマンの法則は酒造メーカーが自社の酒を差別化する際にも役立ちます。
酒類のマーケティングやセールス上での課題は、商品へのこだわりがラベルだけでは伝えにくい点です。
そこでラベルや店頭のPOPなどに商品説明のWebページやSNSのQRコード・メルマガ登録のリンクを設ければ、消費者に伝わりやすくなります。
Web媒体を活用することで作り手の顔が見えやすくなり、商品へのこだわりを効果的に伝えられます。
自社の商品への思いやこだわりを伝えることで、顧客の心をつなぎとめ、リピーターの獲得を期待できます。
グッドマンの法則に関するよくある質問
以下では、グッドマンの法則に関する質問を紹介します。
グッドマンの法則は古いのでしょうか?最新の論文はありますか?
グッドマンの法則が成立したのは1970年代であり、古い考え方である点は事実です。
また、関連の最新論文もほとんどなく科学的根拠に乏しい点も難点といえます。
しかし、70年代と比べてインターネットや情報化が進んだ現代のほうが、グッドマンの法則は考え方として有効といえるでしょう。
SNSやレビューサイトが活用されるようになったため、むしろ現代の方が顧客の不満が顕在化しやすい傾向にあるからです。
グッドマンの法則を活かして顧客関係管理の施策を実践しましょう。
サイレントカスタマーの割合はどの程度なのでしょうか?
不満を持ってもクレームを入れないサイレントカスタマーは、全体の7割から9割存在しているといわれています。
不満を持ってもわざわざクレームを入れるのは手間であり、心理的な負担感も大きいのでこのような割合になるのです。
潜在的な不満は再購入、リピートへのハードルになってしまうため、出来るだけ顧客の声を拾う仕組みづくりが重要とされています。
サイレントカスタマーに関してどのように対策すればよいでしょうか?
サイレントカスタマーとの関係は、企業に接しやすい環境を整えると改善されます。
疑問点や不満のある箇所を手軽に企業と共有できる環境があれば、お客様の声が顕在化しやすいからです。
例えば、以下のような対策で改善可能です。
- ・問い合わせフォームを目立つ場所に設置する
- ・記入項目を減らす
- ・チャットボットを導入する
- ・公式SNSで情報発信をする
企業との近さや負担感の少ないコミュニケーションが、ロイヤルティ向上のカギといえるでしょう。
グッドマンの法則と間違われやすい、ハインリヒの法則(1:29:300)について教えてください。
「ハインリヒの法則」とは職場における些細な出来事が積もり積もって大きな事故の発生につながるといわれる、いわゆる「ヒヤリ・ハットの法則」として知られているものです。300件のヒヤっとするミスが29件の軽い事故につながり、最終的に1件の大きな事故をもたらします。
ヒヤっとするミスが発生した場合、事故になっていないからとそのままにしておくのではなく、ミスの原因や対策を検討・実施することで大きな事故の発生を防げます。
グッドマンの法則まとめ
しかし、苦情を申し立てる人は全体の4%しかいません。
商品・サービスに対する顧客からの苦情や意見は、会社の財産として改善に役立てることができますが、残りの96%の人は不満をかかえていても声を発さないため、企業は対応することすらできません。
そのまま企業が気付かないうちに顧客が離れていく可能性があります。
また、お問い合わせフォームや電話窓口、レビューなど、苦情を申し立てる窓口を用意しておかなければ、顧客は企業に直接声を発することができないため、SNSなどで拡散されてしまうリスクも高まります。
これらのことから、顧客の声(=VOC(Voice of customer))を収集することがいかに重要かがわかります。
顧客の声を集めるためには、商品やサービスに対して感じたことを発信できる機会を作る必要性があります。
集まった声に対して適切に対応することで、再購入決定率やその後の顧客満足度の向上に繋げることができます。
顧客の声=VOCの集め方
消費者がSNSへ投稿した商品・サービスの感想や、ECのレビューなどがそれにあたります。
VOCの集め方には下記の方法があります。
■ECサイトのレビューを集める
■NPS(ネットプロモータスコア)を収集する
■SNSで自社の商品・サービスなどについて言及された投稿内容をピックアップする
■購入者・体験者へアンケート調査を行う
■商品のお届け時にハガキやチラシ等を同梱し、感想や意見を募る
■CS対応(電話、メール問い合わせ)やチャットボットのデータを集める
VOCを集める時は、事前にどのような課題を解決するために集めるのかを明確にすることが大切です。
VOCを集めてサイト改善(事例)
ReviCoでは、集まったレビューから頻出する用語で絞り込み検索ができ、気になる項目のレビューを抽出して確認することができます。
ユーザーはそのレビューから不安を払拭することができ、店舗側は頻出する項目から改善のヒントを得ることができます。
また、レビューに対して店舗からの回答として返信することができます。
この機能は店舗接客のような意味を持ち、ネガティブな口コミにも真摯に対応することで、顧客の納得感が強まり、店舗の信頼度を高めることができます。
店舗の回答はサイトに表示されるため、初めて利用するユーザーにも安心感を演出することが可能です。
たとえネガティブなレビューが寄せられたとしても、個別にCSチームが迅速に顧客対応をすることで、不満を解消して再購入に促す活動もされています。
「ALLU」では顧客の声を集めることにより、ECチームやCSチームのモチベーションアップに寄与し、CSが自走して行えるようになっています。
「ALLU」ショップレビュー 一覧はこちら
レビューは、VOCを集めて、改善して、再購入に繋げるために最適なツールです。
集まったレビューを実店舗と共有しあうことで、顧客の声を商品開発や接客改善、サイト改善に活かしながらCSの活性化も図ることが可能になります。
ここまで、グッドマンの法則を用いながら、顧客の声の重要性について説明してきました。
レビューにはポジティブな口コミもあればネガティブな口コミもあります。
ECサイトの運営者には、ネガティブな口コミがつくことで売上が下がるのではないか、ネガティブな口コミに対してどのように対応すればよいのか、と顧客の声を集めるにあたり不安に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
次回は、そのネガティブなレビューに対する対応方法や活用方法などについて事例を交えてご紹介いたします。
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