ファンマーケティングとは?
限られた予算で安定した結果を出すためには、顧客に自社のファンになってもらうことが重要です。見込み顧客へ闇雲に訴求するよりも、既存顧客のファン化を図った方が効果的な場合もあります。
今回は、自社のファンを獲得するファンマーケティングについて解説します。
ファンマーケティングとは、ファンがファンを呼ぶ顧客起点の集客戦略
ファンマーケティングとは、自社商材やブランドのファンを獲得し、安定的な売上向上を目指す手法です。
ファンマーケティングが重要性を高めた背景は、ブログ・SNS・口コミサイト・自社ECサイトのレビューなどでユーザーが作るコンテンツ(User Generated Contents 以下UGC)の発展にあります。
UGCは企業の広告よりも信頼を持ってもらえるコンテンツのため、ファンの投稿が次の顧客作りに繋がるという図式です。
ファンマーケティングはなぜ注目されている?
ファンマーケティングが注目される理由には、商品・サービスの多様化に比例して消費者のニーズも複雑化していることが挙げられます。
商品・サービスの多様化は選択肢が多く、消費者にとって手に余る状況です。その分、消費者のニーズも細かいところにまで及んでいるでしょう。
数多くの商品から選んでもらうためには顧客のニーズを正確に捉え、より多くのファンを獲得することが重要といえます。
複雑化した消費者のニーズに応え、安定した売上を目指すためには、ファンの獲得を期待できるファンマーケティングが重要です。
ファンマーケティングのメリット4選
ファンマーケティングにはファンと企業の関係を活かしたメリットがあります。
特に「ゼロパーティデータ」との相性がよく、今後のマーケティングシーンで注目される手法といえるでしょう。
以下では、ファンマーケティングのメリット4つを紹介します。
ユーザーの本音(VOC)を収集し改善に役立てられる
ファンマーケティングはVOC(Voice Of Customer)の収集に役立ちます。
SNSや自社ECサイトのレビュー、口コミサイト等には定性分析に活かせる商品・サービスへの感想が集積しています。
こうしたユーザーの生の声を分析すれば、商品の質を向上させ、新規開発の参考にして商品の信頼性を高める活動に貢献できるでしょう。
安定した売上につながる
ファンマーケティング最大の利点はファン層が安定的に売上へ貢献する点です。
ファン層が形成されると長期のリピーターになり、売上の安定を見込めます。
また、ファン層の口コミがSNS上で拡散され、新規顧客獲得に繋がるといういい循環を作れれば、広告費削減にもつながります。
ファン層全体のロイヤルティを高め、生涯価値(LTV)を最大化して売上の安定化を図れるため、粗利の改善に効果的です。
ファンをベースに口コミや評判が広まるファンマーケティングの仕組み
NPS®を改善してリピーターを作れる
NPS®とは顧客が商品・サービスを「どの程度人に薦めたいか」という顧客ロイヤルティを数値化した指標です。
現代では商品の差別化が難しい状況も多く、継続顧客の育成が売上向上にとって重要です。
2割のファンが売上の8割を占めているとする「パレートの法則」からも、NPSを改善させ商品のファンをつくる施策が有効だといえます。
※ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、ネット・プロモーター・スコア、NPS、そしてNPS関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の登録商標又はサービスマークです。
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NPS(ネットプロモータスコア)とは?(前編)
NPS(ネットプロモータスコア)とは?(後編)
ゼロパーティデータとの親和性でより効果を高められる
ゼロパーティデータとは、ユーザー側から企業に提供されるデータです。
企業が収集するファーストパーティデータよりも信頼性が高く、顧客ロイヤルティの向上に役立ちます。
また、最近ではCookieを利用した情報収集がユーザーに好まれず、Googleでも段階的に廃止される流れがあります。
そのため、ゼロパーティデータの活用に注目が集まっているのです。
(参考)ゼロパーティデータにかかわる周辺用語
● ファーストパーティデータ:第三者を経由せずに自社で直接収集したデータ
● セカンドパーティデータ:他の企業がユーザーから直接収集したデータ
● サードパーティデータ:ユーザーと信頼関係がないシステムによって収集したデータ
ファンマーケティングの注意点3選|気長な関係構築が重要
ファンマーケティングの有効性はファンとの関係構築にあります。
そのため短期間での改善を求めて取り組むと、期待はずれな施策だと勘違いしてしまいかねません。
以下では、ファンマーケティングの注意点について3つの観点から紹介します。
中長期的な運用が前提になる
ファンマーケティングは、ファン作りに時間を要するため即効性はありません。
商品やブランドは発売から長い期間をかけて徐々に価値を認められます。
企業SNSも同様に、長期的なファンとのやり取りを通じて、少しずつ信頼関係を築くものです。
そのためファンマーケティングの効果を最適化するためには、効果が出ないからと短期で施策を打ち切らないことが重要です。
炎上リスクを考慮に入れる
ファンマーケティングでは、炎上に対するリスクを常に考慮しておきましょう。
従業員が起こした不祥事のために、ファンとの関係性を悪化させてしまう可能性があります。
親しみを感じてもらおうと、従業員がSNSで過度に砕けた文体での投稿を行ったり、偏った個人の見解を表明したりするケースがあります。
こうしたリスクに備え、事前に炎上時や炎上を防止するための対策を考えておきましょう。
企業・顧客が保守的にならないように留意する
定期的なキャンペーンやイベントを駆使し、企業と顧客が保守的にならない工夫が必要です。
企業は一定層のファンが定着したら現状維持でも構わないと思ってしまいがちです。
結果的に改善や新規施策への意欲が落ち、ファンがそれを察知してしまうと信頼を失います。
ファンマーケティングの手法
ファンマーケティングの手法を理解しておくと、自社に合わせてアレンジしたり複数の方法を組み合わせたりするなど、より効果のあるマーケティング戦略を実施できます。
以下では、ファンマーケティングの方法を5つご紹介します。
ファンミーティング・コミュニティの開設
ファンミーティング・コミュニティは、企業とファンが交流したり、ファン同士が交流したりするための場です。
商品・サービスに対する愛着が深まる点、商品・サービスへの意見や要望を得られる点が最大のメリットといえます。
ファンミーティング・コミュニティから得られた既存顧客の意見や要望を商品・サービスに反映でき、ファンが離脱することも防げます。
また、ファンを大切にしていることをアピールできるため、企業への好意を高める場でもあるといえるでしょう。
SNS公式アカウントの開設
SNS公式アカウントは、ファンマーケティングにおいて有効な方法のひとつです。
SNS公式アカウントは情報を一方的に発信するだけでなく、手軽にファンと交流できる手段でもあります。
ファンとの交流を深めながら、ときにはファンからの意見・要望を得られます。
SNSは、普段から利用している人が多い媒体であり、上手く活用できれば新規顧客の獲得やファンを増やすことも可能でしょう。
また、SNS公式アカウントの開設には費用がかからないため、初期費用を抑えられます。
UGCの活用
UGCとは、User Generated Contentの略称で、ユーザーによって作られたコンテンツのことを指します。
ECサイトやSNSなどへ投稿された口コミをUGCとして自社サイトに掲載し、商品・サービスの購入を悩んでいるユーザーの背中を後押しをするために活用します。
商品・サービスを利用した人の意見や感想は、検討している人にとって有力な情報の1つであり、決断させるきっかけになります。口コミの投稿先が用意されていれば、熱心なファンに自ら口コミを投稿してもらえるため、大きな手間や費用をかけずともユーザーの購買行動を促進できるでしょう。
試供品の提供
別の商品・サービスを使用した人やキャンペーンの参加者などを対象に、試供品の送付・モニター体験を実施することも有効な手段の1つです。
試供品やモニターでの体験を発信してもらうことで認知度が上昇し、売上の向上につながります。
また、一般のユーザーだけでなく、アンバサダーへの試供品提供も方法の1つです。アンバサダーに試供品の口コミを発信してもらうことで、ユーザーに対してより影響を与えやすい意見を活用できます。
会員限定サービスの提供
会員限定のサービスを提供することで、印象や好感度を上げられます。
会員はお得なサービスを受けられれば、優遇されていると感じ、企業に対する愛着を深めるのです。
例えば、特別なセールへの招待や、発売前の商品情報の告知、新商品のサンプルの提供、定価から割引しての販売などが挙げられます。
また、サブスクリプション型サービスも、会員限定サービスのひとつです。
サブスクリプション型サービスを活用することで、商品・サービスを継続して利用してもらえます。
そのため、ファンが定着しやすく、売上も安定して向上する点がメリットです。
ファンマーケティングを成功に導いた事例4選
ファンマーケティングにはさまざまな施策があります。
SNSだけでなく、リアルでの関係づくりもファン獲得に効果的です。
以下では、ファンマーケティングの成功事例を4つ紹介します。
ヤッホーブルーイング|オムニチャネルを駆使したファンコミュニティの運用
オムニチャネルとはデジタルチャネルと並行して実店舗を運営し、デジタルとリアルの融合を目指す施策です。
ヤッホーブルーイングは、オムニチャネルを上手く活用したビールメーカーです。
ファンに向けて、醸造所の見学会や大規模な忘年イベントを開催したりし、ファン同士がつながる場づくりを徹底的に追求しています。
また、熱量の高いお客様とは共創も行うなど、お客様の熱量レベルに応じたコンテンツづくりも意識しています。
こうした施策がファンの心を掴み、ECサイト経由の売上が向上しました。リアルのイベントでファンの心を掴み、ウェブ上の売上を向上させた事例です。
伊藤ハム|日本の元祖企業SNS「ハム係長」アカウントの運用
伊藤ハムの「ハム係長」は、日本で企業SNSを導入した先駆けとして知られています。
ハム係長は、2011年に中年男性・係長という親しみのある設定のキャラクターとしてユーザーとの接点を作る施策です。
投稿やユーザーとのやり取りが話題となり人気を博しました。
顧客ロイヤルティを高め、ゼロパーティデータの収集に貢献しました。
スターバックス|マス広告よりも顧客とのコミュニケーションに尽力
スターバックスは実店舗でのコミュニケーションを重視してファンマーケティングを行っています。
Wi-Fiや電源、くつろげるソファなどの設置や、試飲サービスの提供など、店舗での体験を向上させる取り組みをいち早く実施しました
そのほかにも、トッピングで一人ひとりに合ったコーヒーのカスタマイズができ、オーダーを個別化することで顧客ロイヤルティを高める施策を行っています。
カゴメ|ファンサイト「&KAGOME」のアクティブ会員に寄り添った施策を実行
カゴメでは、上位2.5%の層が売上の30%を構成する顧客構造がありました。
カゴメはこうした顧客と積極的につながるために、会員制コミュニティサイト「&KAGOME」を立ち上げました。
「&KAGOME」では意見交換や商品の人気投票をできる機能があります。
カゴメでは、こうしたアクティブ会員とのやり取りから顧客に寄り添った製品を開発しています。
ファンマーケティングを促進させるポイント
ファンマーケティングは、定性分析をメインに行われます。
そのため、ターゲティングや効果検証を繰り返すことが重要です。
以下では、ファンマーケティングを促進させるポイントについて3つ紹介します。
ファンマーケティングのターゲット設定を明確にする
ファンマーケティングでは、顧客のどのような層に向けて情報発信するかを決める「ターゲティング」を行います。
ターゲットによって打ち出す施策が異なるため、どのターゲットに対してファンマーケティングを実施するのかを決めることは非常に重要です。
リピーターや既にロイヤルティの高い顧客に加え、一度試しただけの顧客などターゲットとするべき層は様々です。ターゲットを明確にすることで、より適切な施策を考案できるでしょう。
顧客分析から戦略を策定・改善を行う
顧客を分析して戦略策定・改善を行うこともファンマーケティングでは効果的です。
顧客リストから企業そのものや自社ブランド、商品・サービスなどに対して強い愛着を持つファンの特徴を分析します。
そうすることで、顧客目線の事業戦略を立てられるため、ファンの獲得に貢献します。
また、施策の改善活動を繰り返せば、ファンに企業努力が伝わり、ロイヤルティが一層向上するでしょう。
顧客との接点を量・質ともに重視する
顧客接点を定量・定性的に重視しましょう。
企業は顧客との接点を作り、顧客の行動データや意見を蓄積させ、データ分析に活かします。
定量的な施策として、企業サイトやオウンドメディアのアクセス解析、商品の購入回数やNPSの測定が役立ちます。
定性的な施策として、SNSやファンコミュニティで顧客の生の声(VOC)を集め、質的な改善を行うということが挙げられるでしょう。
これらの接点を通じて商品やサービス品質を向上させることで、顧客の要求を汲み取る姿勢が伝わり、信頼関係の構築につながります。
まとめ
今回はファンマーケティングの概要とメリット、成功事例を紹介しました。
ReviCoは、主にレビューの収集・活用・分析のサポート機能を提供する、”自走する”レビューマーケティングプラットフォームです。
レビューやNPSから幅広いVOC(顧客の声)の収集ができ、それらを分析することでファンマーケティングに活かして頂けるでしょう。
VOCの収集、ファンマーケティングの運用をお考えの際は、ぜひご相談、お問い合わせください。
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