Cookieはデジタルマーケティングを進めていく中でよく耳にするワードです。集客をしたり、売り上げを伸ばしたりするためにも理解を深めておくことが重要です。
今回はCookieの概要や種類、メリット・デメリットをお伝えします。また、Cookieは規制が厳しくなっているため、規制内容や企業に求められる対応も解説します。
Cookieとは
Cookieの特徴やキャッシュとの違い、語源などについて解説します。
Cookieの特徴
Cookieとはユーザーの入力データや閲覧サイト、利用環境などの情報を記録するファイルです。
Webサイトの初回訪問時に、サーバーがユーザーのブラウザにCookieを発行します。再訪時に、ブラウザがサーバーにCookieを渡すことで、サーバーが同一のユーザーかどうか判別することが可能です。
ユーザーにとってはIDやパスワードなどの同じ情報を入力する手間が省けたり、適切な広告やサイトを閲覧したりするのに役立ちます。
また、企業側はCookieによってユーザーに関する情報が得られます。アクセス解析や広告の運用成果などを把握でき、マーケティングに生かすことができます。
Cookieとキャッシュの違い
Cookieはキャッシュと比較されがちです。どちらも情報を保存しておくという点は似ています。しかし、保存する内容などが異なります。
キャッシュとは、訪れたWebページの文字や画像などの情報を、ブラウザへ一時的に保存する仕組みです。情報が保存されると、再度同じWEBページを訪問した際の表示速度が高まります。また、通信量の節約にも役立ちます。
一方、Cookieはユーザーの入力や操作の内容を保存するものです。保存するものの内容が、キャッシュとは異なります。再度サイトを訪問した際に、ユーザー情報入力の手間が省けるなどのメリットがあります。
Cookieの語源
Cookieの語源はいくつかあります。
Cookieというと、お菓子を思い浮かべる人も多いでしょう。お菓子のクッキーから派生した語源には以下のようないわれがあります。
・保存食であるクッキーのように、データを保存できること
・テキストファイルをWebサーバーが発行し、ユーザー端末のWebブラウザーが受け取る一連のやり取りを、お菓子のやり取りに例えたこと
また、Cookieと同じようなはたらきをする通信プログラムUNIXをもとに命名したという説もあります。諸説あるものの、全てCookieの仕組みやはたらきを反映したものです。Cookieについて理解を深めるための、参考にしてみてください。
Cookieの種類
Cookieにはファーストパーティークッキーとサードパーティークッキーの2種類があります。それぞれについて詳しくお伝えします。
ファーストパーティークッキー
ファーストパーティークッキーとは、ユーザーが訪問したWebサイトやサービス上のみで機能する仕組みです。サイトやサービスを提供している会社や広告主がCookieを発行します。
ファストパーティークッキーでは、ユーザーの行動を高い精度でトラッキングできます。サイトを再訪した際に、履歴に基づいたパーソナライズな提案が可能です。
過去に入力したデータを、ユーザー再訪時に反映することもできます。ユーザーがサイト訪問時に、手間をかけずにサービスを受け取ったり閲覧したりできるため、ショッピングなどを手軽に楽しんでもらえます。
サードパーティークッキー
サードパーティーとは、ユーザーでもなく、Webサイトやサービスの主でもなく、別のドメインから受け取るCookieのことです。
例えば、リターゲティング広告においては、サードパーティークッキーを活用します。リターゲティング広告とは、一度自社サイトを訪問したことのあるユーザーに向けて、他社サイト内で表示する広告のことです。
ユーザーの関心に基づいた広告を打つ機会を多く持てるため、購入を促す効果が期待できます。しかしプライバシーの観点から、制限が厳しくなってきています。
Cookieのメリット・デメリット
事業者や企業がCookieを使用した場合のメリット、デメリットをお伝えします。
【メリット】保存機能によりユーザーの利便性を上げられる
IDやパスワード、カート情報など、ユーザーが再度入力・選択する手間を省くことで、サイトの満足度や売り上げを高められます。
例えば、サイト訪問時にIDやパスワードを入力せずにログインできるように設定しておけば、すぐに商品やサービスにアクセスしてもらえます。
また、ユーザーが一度カートに商品を入れてから離脱し、再訪したとします。その際に、カートに商品を残しておけば、再度購入を検討してもらうことが可能です。
【メリット】検索結果や広告をユーザーごとに最適化できる
ユーザーの興味のあるサイトや広告を優先的に表示させることが可能です。効率的にリーチできるようになり、コンバージョン率を上げられます。
自社サイト内ではもちろん、他社のサイト上でも広告を打つことができれば、ユーザーの購入機会を増やせます。自社のサイトを訪れていない時間も、ユーザーに思い出してもらえるため、取りこぼしの防止に繋がります。
【デメリット】行き過ぎた対応はユーザーに嫌悪感や不安感を与える可能性がある
Cookieの情報を元に最適化した広告やWebサイトを何度も表示することで「プライバシーが侵害されている」というユーザーの不安をあおってしまうこともあります。
また、何度も同じ広告を見せられることで「しつこい」などと嫌悪感を持たれる危険性もあるため、過剰なターゲティングには注意が必要でしょう。
【デメリット】デバイスが変わると別のユーザーと認識されてしまう
ユーザーがスマートフォンやタブレットなど複数のデバイスを使用している場合、別のユーザーと特定されます。
デバイスをまたがってWebサイトを見ているユーザーの動きを完璧に追跡することは困難です。一般的に起こりうることであるため、必要に応じて対策をするとよいでしょう。
Cookieの危険性
企業のCookie利用にあたっては、注意すべき事柄があります。近年厳しくなっているCookieの規制と、規制により企業に求められる対応についてまとめました。
Cookieの規制に関する内容
Cookieは、デジタルマーケティングを効率的に進めていく上で非常に有効なツールです。しかし、個人情報保護の観点から、規制が厳しくなってきています。
2022年4月には、改正個人情報保護法が施行されました。法律上、Cookieに保存されている個人情報は「生存する個人に関する情報であって、個人情報、仮名加工情報及び匿名加工情報のいずれにも該当しないもの」と定義されます。
Cookieを提供元から取得し個人情報と紐づける際には、ユーザーの同意が必要です。例えば「Cookieに同意する」というポップアップ表示をする方法があります。また、ユーザーへの同意を得ると同時に、厳重な管理が求められます。
また、2023年6月には改正電気通信事業法が施行されました。ユーザーの情報取り扱いに関する「外部送信規律」が新設されたのが変更点です。
対象となる企業や事業者は、サードパーティクッキーのデータを含めたユーザー情報を第三者に提供する場合、ポップアップ表示などを通してユーザーからの事前同意を得ることなどが義務付けられました。
Cookieの規制により企業に求められる対応
まずは、Cookie取得に関する同意を得るためのツールを導入するとよいでしょう。同意が得られればユーザー情報を利用できるため、対応を進めていきましょう。
また、リターゲティング広告に頼らずにコンバージョン率を維持、もしくは上げていける仕組み作りをしておくと安心です。
顧客目線に立ち、どのようなプロセスで購入にいたるのかを明らかにしておくことが重要です。Webサイト内の動線を見直したり、ユーザーが興味を引く情報を提示したりできるとよいでしょう。
ユーザーニーズを把握し、スムーズに購入に至ってもらえる仕組みづくりがこれまで以上に求められます。
まとめ
Cookieとは、利用者の入力データや閲覧サイト、利用環境などの情報を記録するファイルを指します。
ユーザーにとっては、Webサイト利用時の利便性を高めてくれるものです。IDやパスワードなどの同じ情報を入力する手間が省けたり、適切な広告やサイトを閲覧したりできます。
企業側はCookieを利用することでユーザー情報が得られ、アクセス解析や広告の運用成果などを把握できます。Cookieはデジタルマーケティングを進める上で大切な情報源です。
Cookieは大きく分けて2種類あります。1つ目はファーストパーティークッキーです。ユーザーが訪問したWebサイトやサービス上のみで機能します。2つ目はサードパーティークッキーです。ユーザーが他社のサイトを訪問した際に、自社の広告を打つことを可能にします。
Cookieはユーザーの利便性を上げたり、最適化したWebサイトや広告を表示できたりなどのメリットがあります。一方で「プライバシーを侵害された」という不安感を抱かせてしまう危険性があるため、過剰なターゲティングには要注意です。
Cookieは個人情報保護の観点などから規制が厳しくなってきています。今後は、自社サイトの魅力向上など、新たな視点でユーザーニーズを満たすことも欠かせないでしょう。
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